麻布十番のとあるバーでクリスマスパーティーがあった。
マスターとバイトらしい女の子が一人いるだけのこじんまりとしたお店だった。
毎年恒例の仲間内でのパーティーらしく、
参加している人たちはほとんどが同じ会社の同僚。
その中で、私は数少ない部外者。
会場に着くと、女の子たちは幹事がドンキで調達してきたサンタクロースの衣装を着ている。
日中、私にも「サンタの格好する?」というメールが来ていた。
迷わず、着ない。
初めてお会いする人たちの中で、いきなりサンタになる度胸は私にはない。
(そのノリがあったなら、私の人生はまた違うものになっていたと思う)
それよりも、なによりも、この日のために買ったワンピースがが台無しになってしまう。
私の隣に座っていた女の子は、はじめは私服だったが、 上司の
「営業魂を見せろ」
という一言で、あっという間にサンタに変身した。
肩が出ているワンピースタイプの衣装だ。
「営業魂」というのは体育会系である。
着替えた姿を見て、上司は一言、
「意外と肩幅ないんだね~」
と言った。
意表を突かれた。
新しい!
そこなんだ!!
私はその一言にしばらくの間、ひとり思い出し笑いをしていた。
しばらくして、ビンゴ大会が行われた。
同僚でもサンタでもない私が1番にビンゴした。
最後の最後、魅力がない商品が残ってしまったので、
その商品に、現金+年末ジャンボが追加された。
私の連れがビンゴした。
すると上司が、
「俺はこの10年、お前に何を教えてきたんだ」
と言った。
「はい。ビンゴしてませんでした!」
彼のビンゴは帳消しになった。
パーティーの最後に、
参加者の中で初参加、かつ最年長という部長さんが締めの挨拶をする。
「マスター、ママ、今日は本当にありがとう!!メリークリスマス!!」
「ママでは‥」
アウェーでは全く予想がつかないことが起こっている。
それを覗かないのはもったいない。
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